血尿、尿潜血

尿に血液が混入した状態を血尿と言います。血尿には肉眼ではわからない血尿（顕微鏡的血尿）と目で見てわかる血尿（肉眼的血尿）があります。

原因

その原因は腎炎、尿路結石症、膀胱炎、尿路悪性腫瘍（腎臓癌・膀胱癌・前立腺癌）、前立腺肥大症など様々なものがあり、専門医による診察を受けられることをおすすめします。

当院では検査時の痛みが少ない軟性膀胱鏡を早くから導入し、膀胱癌の早期発見に努めています。 特にお年をめされた方の尿路症状（排尿時痛・頻尿）や腰痛・腹痛などのない肉眼的血尿は尿路悪性腫瘍の可能性もあり精密検査をおすすめいたします。

当院の施行実績

院長は泌尿器科医としてこれまで約20,000件以上の膀胱鏡の施行経験があり、当院開院（平成14年9月2日）以降今日まで（令和4年8月）に約7,000件を越える軟性膀胱鏡を自ら施行し、多くの膀胱癌患者様を発見いたしました。

クラミジア性尿道炎

性行為（Oral Sexも含みます）により感染する疾患を、
STI （Sexually Transmitted Infections）と言い、クラミジア性尿道炎はこのSTIに含まれ、クラミジア・トラコマティスと言う細菌とウィルスの中間の特徴を持つ菌によって引き起こされます。

症状

感染の機会より1～4週間の潜伏期を経て症状が現れ、通常淋病より遅れて出現することが多いとされています。一般に症状は軽く、尿道からの水様性の分泌物と尿道の"むずがゆい感じ"や会陰部の不快感などがあります。

女性では感染して子宮頚管炎をおこしていても、その約3分の2は無症状であり、検査によってはじめて発見されることが多いのが特徴です。女性の場合、治療せずに放置しておくと卵管炎、骨盤内感染をおこし流産や不妊症の原因となり注意が必要です。

診断・治療

尿中、子宮頚管粘液中にクラミジア・トラコマティスが存在していることを証明することで容易に診断をつけることができます。
クラミジア感染症と診断がつけば、抗菌剤を1日又は1～2週間内服することで治療可能です。この際、セックスパートナーも同時に治療することが重要です。

尖圭コンジローマ

亀頭包皮、肛門部などに鶏のトサカのような淡紅色〜褐色のイボが形成されます。
STI （Sexually Transmitted Infections）の一種でヒトパピローマウィルス（HPV）により引き起こされます。
治療は健康保険で認められているクリームや切除、液体窒素により冷却切除、電気焼却などが行われ、簡単に治療することができます。ただし再発することもありますのでご注意下さい。

性器ヘルペス

亀頭包皮などに痛みを伴う小さな水泡ができる疾患です。
STI （Sexually Transmitted Infections）の一種で、ウィルスにより引き起こされます。軟膏、内服薬で治療しますが再発することがあります。
通常、過労や過度なセックス、月経などが誘因となり再発することが多いようです。病気とうまく付き合っていくことが重要です。

たんぱく尿

尿に蛋白が出ている状態を『蛋白尿』と言います。
学校・職場の検診で発見されることも多いのですが、無症状のため放置されることが問題です。

種類

蛋白尿には運動等により出現する生理的蛋白尿と、何らかの腎疾患により出現する蛋白尿があります。前者は放置しておいても差しつかえありませんが、後者は治療の必要な場合があります。

なかには20～30年後に腎不全となり、血液透析や腎移植が必要な場合もあります。『蛋白尿』を指摘されたらできるだけ早い時期に、一度専門医を受診されることをおすすめいたします。

勃起障害（ED）

ほとんどが心因性（ストレス・緊張など）ですが、器質性（糖尿病・動脈硬化・脊髄疾患）や外因性（酒・たばこ）かを正しく診断することが大切です。
最近では高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病に先立ってあらわれることがあり、注目されています。

治療

一般的に保険診療は認められておらず、自費診療となります。
現在、シルデナフィル（先発品名：バイアグラ）、バルデナフィル（先発品名：レビトラ）、タダラフィル（先発品名：シアリス）といった3種の治療薬があります。（バイアグラ錠、シアリス錠はありますが、レビトラ錠は流通していません。）

これは催淫剤ではなくあくまでも"性欲"があり、何らかの性的刺激をうけてはじめて効果があります。副作用として頭痛、顔面紅潮感、ねむけ等がありますが一般的にはいずれも軽微です。ニトログリセリン剤との併用で重篤な副作用が出ることがあり、注意が必要です。

また外見が「本物」とそっくりな偽薬が多く売買されています。中には非常に危険なものもありますので、くれぐれも御注意ください。性欲がなければ男性ホルモン（テストステロン）値を測定し、その補充治療が必要な場合もあります。（いわゆる男性更年期障害）

包茎

包茎には、
1）真性包茎：亀頭が全く露出できない状態
2）カントン包茎：包皮を手で剥いて亀頭を露出した際、包皮を元に戻すことができず、痛みが強く包皮が膨れてくる状態
3）仮性包茎：通常亀頭は露出していないが、包皮を手で容易に剥くことができる状態
があります。
包茎のうち 1)と 2)は手術の適応です。3)に関しては美容学的観点および包皮と亀頭の間に雑菌が増殖し包皮炎を繰り返しおこす様な場合は手術をおすすめします。

診療について

申し訳ございませんが、現在当院では手術を一時中止しております。体制が整い次第、手術を再開させて頂きます。また、一度受診していただければ包茎のタイプにより他院へ御紹介させていただくことは可能です。

前立腺肥大症

前立腺は男性のみにある臓器で膀胱の出口に存在します。
通常50才を過ぎればその容量は増加し、夜間頻尿・排尿困難・残尿感などが出現します。こう言った状態が前立腺肥大症です。
肥大の程度により薬剤、手術などの治療法があります。最近では術中の出血が少ないレーザーを用いた手術が広く行われています。

腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁

自分の意思に反して尿がもれる状態を尿失禁と言います。尿失禁にはいくつかのタイプがありますが、
1）咳をしたとき、走ったりしたときに尿がもれる"腹圧性尿失禁"
2）尿意が強く我慢できなくてもれてしまう"切迫性尿失禁"
3）上記両者を併発している”混合性尿失禁"
4）残尿が多く膀胱より尿が常時もれる“溢流性尿失禁”
などがあります。

男性では上記2)と4)の尿失禁タイプが多く前立腺肥大症、前立腺癌が原因のことがあります。膀胱をささえる筋肉が弱っていることがあるので、その筋肉を鍛える体操を行うと共に、内服薬で治療します。場合によっては手術が必要な場合もあります。

前立腺癌

前立腺肥大症が"良性"なら、前立腺癌は字の通り前立腺に発生する"悪性"腫瘍です。
症状は前立腺肥大症と似ており、前立腺肥大症の中にかくれている癌を発見し、適切な治療をすることが重要です。
前立腺癌は米国では男性が罹患する癌の中では最も多い癌ですが、食生活の欧米化に伴ってわが国でも近年急増しており、現在では日本でも男性が罹患する癌のうち発生頻度は第一位です。

また前立腺癌の中には遺伝するタイプもあり、身内の方に前立腺癌の方がおられれば、一度受診をお勧めさせていただきます。

治療法

治療法には薬物治療（主にホルモン療法）、手術療法、放射線療法などがあります。
前立腺癌の診断には前立腺特異抗原（PSA)と言う物質の量を採血により簡単に測定することができ大変有用とされています。
手術・放射線治療後の再発有無のチェックおよび薬物治療は当院で施行させていただいています。

手術

手術療法はロボット補助腹腔鏡下前立腺全摘出術が普及しており、手術の傷も小さく、身体にやさしく早期退院が可能となっています。また、放射線療法は従来の放射線治療に加えて重粒子線治療も健康保険の適応となっています。

慢性前立腺炎

20～40代の比較的若い世代の方に多く、その症状は排尿時不快感、残尿感、頻尿、陰部不快感、鼠径部および陰のう部の疼痛などがあります。
診断は前立腺圧出法により、尿中あるいは前立腺液中に白血球（膿）が出現するのを確認することで可能です。また精液に血液が混在することがあります。（血精液症）

治療

治療としては前立腺圧出法、抗菌剤の投与、消炎鎮痛剤の投与などが行われますが、飲酒やストレスなどが原因で再発を繰り返すことがあります。
ゆったりとした気持ちをもち、根気強く治療をすることが重要です。

尿路結石症

腎臓、尿管、膀胱などの尿路に結石ができる疾患です。
通常、腰痛や腹痛（さしこむ様な痛み）、血尿などがあらわれることが多く、"小さな犬ほどよく吠える" と言う例えではありませんが、小さな尿路結石ほど急激なさしこむ痛みがあります。
大きな結石は痛みもなく、泌尿器科を受診する機会も少ないので、気がつけば腎臓が大きなダメージを受けて、腎機能が低下していることがあります。

治療

大きさが5mm程度の結石は自然に排石される可能性が高いのですが、それより大きなものは体外衝撃波破砕装置（ESWLといいます）や内視鏡を用いて砕石をする必要があります。
また、痛みがないからといって排石したと考えるのは非常に危険で、痛みがなくても必ず泌尿器科を受診し排石の有無を確認することも重要です。

男性更年期障害

男性更年期障害は中高年男性の間で増加しておりLOH(ロー)症候群（加齢男性性腺機能低下症候群）のことで、女性の更年期障害と同様に疲れ、ほてり、発汗、うつ状態のほかに性欲低下、勃起障害など多彩な症状を呈する症候群のことです。

原因・治療

その原因は加齢、ストレス等による男性ホルモンの低下が挙げられ、血中テステステロン値、血中遊離テストステロン値を測定し低値であれば男性ホルモン補充療法の適応となります。
男性ホルモン補充療法を施行するときは前立腺癌の腫瘍マーカーである血清PSA（前立腺特異抗原）値を測定し、もし高値で前立腺癌の疑いがある方には男性ホルモン補充療法は施行できません。

日常生活において仕事以外に趣味やボランティア活動等に参加し、ストレスを軽減するライフスタイルを確立することも症状を軽減する一手段です。

亀頭包皮炎

亀頭包皮炎とはペニス先端の亀頭とそれを包む包皮に炎症を起こして亀頭包皮が赤く腫れて痛み・かゆみがある状態です。
その原因は、
1)洗いすぎ
2)細菌感染
3)真菌感染（カンジダ）
があります。
亀頭や包皮から白いカスが出たりカサつくのも一つの症状です。抗菌剤、抗真菌薬の内服薬・軟膏あるいはステロイド軟膏で治療します。

PSA高値

前立腺癌の腫瘍マーカーとして有名で前立腺癌の発見、前立腺癌の治療経過をモニタリングするのに非常に有用です。

ただし、前立腺癌以外に前立腺肥大症、前立腺炎などでも高値を呈することが有るので、検診でPSA高値を指摘されたら早めに専門医の診察を受けてください。